「脳はバカ、腸はかしこい」「遺伝子も腸のいいなり」の藤田先生の本です。3冊目です。出版社がちがうようで、テイストも少し違って感じました。前の2冊は、タイトルからしてコミカルでありながら、感情たっぷりに「腸がいちばんエライ!」と叫んでいるイメージを受けましたが、こちらは「腸を大事にして得することがあるよ〜」と内容の実用性を伝えているように思います。サブタイトルに、「ストレス、こころの不調を解消する腸の鍛え方」とあります。とくに免疫についてのくだりは、非常に自分の生活にとって関係があると感じ、メモが追いつかずにいます(ノートにメモしながら読んでいた)。ぜひ本棚でも手に取りやすい位置に置き、繰り返して読んでほしい本です。
読もうと思ったきっかけ
セロトニンを増やすにはどうしたらいいかを調べようと思ったところ、神経伝達物質は腸でつくられるし、こころの不調についても腸のコンディションが重要なんだと思ったので、自然とこの本にたどりつきました。藤田先生の本は、ぱらっと見た感じでも文章がきれいで読みやすかったです(読みやすいので、さくさく進んでいくのですが、何回も戻って読み返すところがありました)。普段から感じているストレスをなんとかしたい、と思っていたのも、この本のテーマに合っていたかもしれません。
内容の難易度
最初はさらっと読める気がしたけれど、よく読んでいくと、もう少しゆっくり読んでみたい部分があり、3冊のなかでは難しい内容だと思う。特にP.88〜「腸こそ免疫の要」あたりでの、免疫細胞のふるまいについては、興味深くもっと掘り下げて読んでみたかったです。短く読みやすい文章ですが、内容はぎっしりつまっていて、後から拾いなおして読むのも楽しかったです。
水では、硬水のカルシウムに注目
ヒマラヤ山脈の高原地帯に暮らすフンザ族や、南米の奥深い高原地帯に暮らすビルカバンバには、100歳を超える「百寿者」が大勢暮らしていたそうです。彼らは長寿の秘訣を開口一番「水」だと語り、標高2000m以上の山から流れる谷川の水を調べてみると、カルシウムやマグネシウム、鉄、銅、フッ素といったミネラル含有量の多い「硬度の高い水」だったと。そのなかでもカルシウムに注目しているそうです。「天然水に含まれるカルシウムは、粒子が細かくイオン化されており、体内への吸収率はほぼ100%。ですから、軟水ではなく硬水を日常的に飲むことは、動脈硬化、ひいては心臓病や心筋梗塞の予防にもなるのです。」「ただし、硬水のカルシウムは腎臓障害、胃を切った人などには刺激が強いので、こんな人は軟水がおすすめです。」とのことでした。駅などの自販機でコーヒーばかり飲んでいたのですが、はじめてクリスタルカイザーを買いました(硬水だよね?)。
腸の健康と血液型
第5章の血液型によって腸内健康法が違うといった見出しは突飛に感じますが、内容を読んでみると納得できるので、ぜひ読んでみていただきたいです。
「そもそもABO式血液型は、赤血球を覆っている「糖鎖」と呼ばれる物質の構造の違いによって、A型、B型、O型、AB型の4つのタイプに分けられたものです。」「当初、人類の血液型はすべてO型だったものが、農耕民族の一部からA型が、遊牧民の一部からB型が生まれました。さらに彼らの混血によってAB型が誕生したというわけです。」
つねづね、A型は堅実なイメージがあったり、B型は自由でおおらかなイメージがあったので、受け入れやすい説明でした。また、赤血球を覆う物質の構造がちがう、血液型によってリンパ球の数がちがう、免疫力がちがう、ということもあわせて読むと、腸の健康を考えながらも、同時に人類の進化を想像する面白い部分でした。