捨てられない着物の理由。母は、ここぞというとき、いつも和服を着た

振袖

断捨離、というほどのことではないけれど、家の中の物を減らしたい、と考えています。もともと、掃除や片付けが好きなので、きれいにしているつもりでした。しかし捨てられないものが、多くなってきています。

もっとも捨てられずに悩んでいるのが着物です。

どうして着物が捨てられないのか、ひとつ、きづいたことがあります。

母が、ここぞというときに着ていた和服

私のために仕立ててくれた着物はもちろん、捨てがたいです。いま買おうと思っても無理だからです。

そして、母はいつも、ここぞというときに和服を着ていました。勝負服といってもいいのかもしれません。どんな勝負かというと、仕事で勝ちにいくときだけではありませんでした。

私のような世間知らずが太刀打ちできないようなピンチのとき、いつも母は味方してくれました。

「200万円の版画を買おうと思うの。ローンで」

と私が言い出したとき、何かしらピンとくるものがあったのでしょう。お金がないなら、交渉するときについていってやる、と母がついてきてくれました。私はすでにローンを組んでしまうつもりだったので、何の気なしに母と出かけました。

若いOLに、本物とはいえ高価な買い物をさせようとしていた画廊の人は、ちょっと「あれ?」と思ったようです。そこそこ立派な和服姿でびしっと決めた美しい(私の母は美人でした)マダムにも絵画の説明をしはじめます。

どんな話をしたか、思い出せないのですが、私はローンを組むことをやめました。「やっぱりあの作家はすごいけど、ローンを組むほどのファンじゃなかった」と気づいたんです。私の中にあったのは、有名画家の作品で人気のありそうな題材であれば高く売れるのでは、という計算でした。なぜか画廊の人は私よりも美術の知識がなく、それもちょっとあやしかった。

あのときの母は、私のピンチにかけつけてきてくれたのでした。「娘をだます人間はゆるすまじ」という気迫を漂わせていたのでしょう。和服を着て。

思い出をどう残しておくべきか

思い出のある着物は処分できないのでしょうか。すべて処分することが難しいなら、せめて削減目標をたてて、段階的に処分を計画するべきなのでしょうか。その場合、何を根拠に削減目標をたてたらいいのか。

いくら部屋を片付けようとも、この和服にとりかからないことには、成果があったように感じられないことはわかっています。今日は、着物の処分に悩むエピソードを思い出してしまいました。

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